2007年4月1日日曜日

「Tommy」を観てきた

30日の昼公演を観てきました。
予備知識なしで行ったら、結構ショッキングで。
ミュージカルというよりは、ライブかプロモーションビデオでも観ているような感じでした。さすがロック・ミュージカル。


ストーリーは、う~ん・・・何と言ったらよいものか・・・。
人間ってヤツぁ、何十年、何百年、何千年経とうと、どの国・どんな場所にいようと、変わんないんだねぇ・・・。
などと、冷笑的になってみたり。
「SHIROH」がキレイにまとまっていて安心していた分、こっちはまとまるどころじゃなくて疲れました。


細かいことを言えば、
中川晃教君はモーツァルトにしろ、シローにしろ、トミーにしろ、こういうシンボル的な役が多いねー。
右近さんは何か、いつもに増してイキイキして見えたわ。
「持ち帰らないでね」とアナウンスのあった日本中のトイザらスから集めたというピンボールの玉。実際に飛んできた時には、思っていたよりも大きくてビビった。あれ、持ち帰ろうとしてもすぐバレるだろお。
帰りの時間は余裕をもった予定を立てることをオススメします。カーテンコール後、アンコールライブがあって「サマータイムブルース」と「ピンボールウィザード」を歌ってくれました。さっさと帰っちゃうともったいないかも。
私信→席を間違えてしまい、申し訳ありませんでした。わざとじゃないですよ。まさか1階と中階と2階に同じ番号の席が3つもあるなんて事を、失念していただけなんです。ごめんなさい。



それにしても、私にはあのストーリーがどうにもザラザラと引っかかって仕方ない。というわけで語り入っちゃってもよいですか。


両親は彼を愛してなどいない。
両親は事実をねじ曲げて彼の中に封じ込めた。それが三重苦の原因であることなど一目瞭然だろうに。
両親は不憫な息子に尽くすことで自分たちの罪から逃れようとしているだけだ。本当は彼が治って真実が明るみに出ることを怖れている。だから、きちんとした医者の所にはなかなか連れて行こうとはしない。彼が人々の注目の的になったことで、世間からの圧力でまともな医者の所に連れて行かざるを得なくなっただけだ。
しかも彼が受けた虐待さえ、その体を見ればすぐに気付けたはずだろう。それでも彼を親戚に預け続ける。
両親はそれぞれが自分のことしか見ていないのを棚に上げて、彼が鏡の前に立ち続けることを嫌悪する。
本当に救いたかったのは息子じゃなくて、自分なんでしょう?


ピンボールを得たことで、彼はやっと近親者だけの狭い世界から抜け出す。でも、取り戻したはずの自由はすぐに奪われる。そこにあったのは「自分一人」というもっと狭い世界と、4人から無数へと増えた略奪者、寄生者たち。


彼が知っているのは奪い・奪われることだけ。
両親から自由を奪われ
親戚から尊厳を奪われ
ピンボールチャンピオンの座を奪い
たくさんの人々の目を心を奪い
最後には全てを奪わせる
その先で、やっと
本当の自由を、彼は得ただろうか。