2010年4月5日月曜日

桜のおもいで

今この季節、花の時期、が大好きだ。桜は特に好き。


この間のライブの日は風がとても強くて。帰りに近所の桜並木の下を通ったら、夜空をバックに桜の花が浮き上がって。太い枝もわっさわっさ揺れていて、とても綺麗で。並木の終わりまで、桜を見上げて歩いた。


毎年毎年、桜を見上げてきたけれど。なかでも、昔見た印象深い山桜の木がある。
実家の近所にある雑木林の道路際に生えていた山桜。
年が明けて間もなくの頃、土地の持ち主が長いこと放置していた雑木林の木をほとんど全部切り倒した。桜の木も、どんぐりの木も。根元近くから切り倒して、横たわった幹は枝を天に向けたまま、そのまま放置された。
あと2・3ヶ月したら花が咲く、そんな頃に切らなくてもいいのに。今年この桜は見られないんだと、残念に思った。


でも、桜は咲いた。


根っこから切り離されて、2・3ヶ月も放置されても。
天に向けた枝の先に、捧げるように花を咲かせた。


その姿は哀しくて、美しくて、羨ましかった。


たぶん、枝が道路にかかって車が通る邪魔になるとか、電線に引っかかるとか、そういう理由だったのだ。あの美しく大きな木々が切り倒された理由は。そんな理由、私には理解できないけれど。あの道には今は、桜は咲かないし、どんぐりも落ちてこない。でも今でもあの土地は雑地のまま、背丈ほどもある草と細い枝を伸ばした若木に覆われている。
だから、もしかしたら、またいつか。