2010年1月29日金曜日

「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」展を見てきた

27日はライブの前に東京都写真美術館で開催中のこの写真展を観てきた。
去年から見に行こうと思っていたのだけれど、丁度KUMAMIが恵比寿でライブするというのでついでに行こうと楽しみに待っていたのだ。


木村伊兵衛さんとアンリ・カルティエ=ブレッソンさんは、同時代に活躍した有名な写真家。
テレビなどでその作品を何度か見る機会があって、興味があった。そんな見たことのある作品も展示されていて感激。伊兵衛さんの「上村松園」や「永井荷風」、ブレッソンさんの「サン・ラザール駅裏,パリ」や「サルトル」。「ココ・シャネル」や「横山大観」も格好良かったなぁ。


中でも気に入ったのは伊兵衛さんの「六代目尾上菊五郎、娘道成寺」。
花道の上、華やかな娘姿で立つ、その後ろ姿。
正面からのライトで浮かび上がるのは、客席から見上げ注目するたくさんの観客たちの眼。逆光で陰をおびる、その背。
そしてそれだけでなく、その絵のこちら側でカメラを構えて見つめる眼の存在感。
それら全部を合わせた、緊張感と臨場感。迫力・・・。


そんな感動の行き着く先が、
「こんなアングル、こんな感じで、ピアノを弾くKUMAMIの後ろ姿を撮ってみたい!」
だったというのも如何なものかと思わなくもないが、
でも、こういう風に「撮ってみたい」と感じたのは初めてだ。
そして、その日のKUMAMIの新曲のテーマが「背中」であったことにビビったというのも正直なところ。


トータルな感想としては、

伊兵衛さんの写真は、その場所、その人、その時代など、対象の中の普遍的な一瞬を、刻々と移り変わっていくタイムラインの中でなお変わることのない本質が光を放ってフィルムに写り込んだ一瞬を、ネガの中からすくい上げる。
静的な、定点観測カメラのような、まなざし。

ブレッソンさんの写真は、物語の挿絵のように一連に繋がる前後のストーリーまで想像しうるような、映画フィルムから一コマ抜き出したかのような、一枚の完成した絵。
動的な、映画撮影カメラのような、まなざし。


この二人はなんか、写し出そうとしているものはとてもよく似ているのに、全く正反対のスタンスを採ってるみたい。
伊兵衛さんは背景とかよりも写したい対象やポイント、「点」を重視している感じで。
ブレッソンさんは背景も対象も全部ひっくるめた、「面」を重視している感じで。
こうして並べて見せてもらえるのは、とても面白い二人だと思う。


でも平日だっていうのに、人が結構いて驚いたわ。


写真美術館では映画上映もしていて、今は「マザー・テレサ」のドキュメンタリーフィルムだった。ちょっと興味ある。
ただ写美のミュージアムショップは、ちと狭いなぁ。そして、写真美術館友の会に入ってしまおうかと、悩む。


それにしても、これだけ写真展にばかり足を運んでいるというのは、自分でも意外。これで「別に写真にばかり興味あるんじゃないんだからねっ」て言ったら、ある意味ツンデレか?おかしいな、他にも興味の対象はいっぱいあるんだけど~。


「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」
東京都写真美術館
2009年11月28日(土)~2010年2月7日(日)